一般的にカセット式のガスストーブの燃費は、いろいろな暖房器具と比べて、非常に悪いです。しかし、電源のないところでも使えるなどのメリットによって、たとえ燃費が悪くてもそれを上回るメリットがあります。具体的にどのくらい燃費が悪いのか、他の暖房器具との比較を交えて解説します。
燃費比較するための条件
カセット式ガスストーブとセラミックヒーターとエアコンと石油ファンヒーターの燃費の比較には、以下のような前提条件が必要です。
- 暖房する部屋の広さや断熱性、気温や湿度などの環境要因
- 暖房器具の種類や機種、設定温度や運転時間などの使用条件
- 燃料や電気の単価や消費量などの経済要因
これらの条件によって、燃費は大きく変わります。したがって、一概には言えませんが、ここではあくまで目安として、以下のような条件で比較してみます。
- 暖房する部屋は10畳(16.5m^2)で、断熱性は普通とする
- 暖房器具は各種類の中から代表的な機種を選び、設定温度は20℃とする
- 運転時間は1日8時間とし、1ヶ月(30日)分の暖房費を計算する
- 燃料や電気の単価は2023年4月時点の平均値とし、消費量はメーカー公表のデータを参考にする
カセット式ガスストーブ:イワタニ カセットガスストーブ マイ暖
- 最大発熱量:1.0kW
- 連続使用時間:約3.5時間(標準モード)
- カセットガス1本あたりの単価:約300円
- 1ヶ月分の暖房費:約28,800円(カセットガス96本分)
セラミックヒーター:パナソニック ナノイーX搭載 セラミックファンヒーター DS-FKX1205-W
- 最大消費電力:1200W
- 電気代1kWhあたりの単価:約27円
- 1ヶ月分の暖房費:約7,776円(電気代288kWh分)
エアコン:ダイキン ルームエアコン Sシリーズ S28WTAXS-W
- 最大消費電力:890W
- 電気代1kWhあたりの単価:約27円
- 1ヶ月分の暖房費:約5,724円(電気代212kWh分)
石油ファンヒーター:トヨトミ 石油ファンヒーター LC-SL43D
- 最大発熱量:4.0kW
- 灯油消費量:0.34L/h(最大時)
- 灯油1Lあたりの単価:約150円
- 1ヶ月分の暖房費:約12,240円(灯油81.6L分)
カセットガスストーブのメリット
燃費が悪いのに、カセットガスストーブには需要があります。というのも、燃費を上回るメリットがあるからです。
カセット式ガスストーブの主なメリットは以下の通りです。
- 簡単に使用できる: 使用方法が簡単で、点火から使用までの時間が短く、即座に暖かさを感じることができます。
- コンパクトな作り: カセットにガスが入っているため、機器自体が軽量コンパクトな作りで持ち運びにも便利です。
- パイロット火稼働機能: 点火スイッチを押すだけで、手元にあるリモコンではなく、パイロット火に点火することができます。スイッチを押しっぱなしにする必要がないため、火力調節なども行いやすく、操作性が良いとされています。
- 節電できる: 室内を焼きすぎることがなく、燃費が良いため、エアコンやファンヒーターに比べて燃費が良いとされています。
- ポータブル: カセット式ガスストーブはポータブルタイプとして製品展開されているため、屋外やキャンプなどでも使用することができます。
暖房費の比較のまとめ
暖房器具 | 月間暖房費 |
---|---|
カセット式ガスストーブ | 28,800円 |
セラミックヒーター | 7,776円 |
エアコン | 5,724円 |
石油ファンヒーター | 12,240円 |
この結果から、燃費が最も良いのはエアコンで、最も悪いのはカセット式ガスストーブと言えます。セラミックヒーターと石油ファンヒーターは、それぞれ約1.4倍と約2.1倍の差があります。
ただし、これはあくまで目安であり、実際の燃費は使用条件や環境要因によって変わります。また、暖房器具の選択には、燃費以外にも快適性や安全性などの要素も考慮する必要があります。